研究者、技術者のための、もう一度、数学

ー募集を終了いたしました。たくさんのご応募ありがとうございました。ー

開講時間

平成30年11月28日(水)~30日(金)
いずれも1 0 : 0 0 ~ 1 7 : 1 0
全日程3日間  1日ごとの選択受講も承ります。

募集人員

12名  先着順にて承ります。

対象者

企業、研究機関にご所属で、
●業務の中でシミュレーションや解析を行いながら、この計算の根拠がわからない、と悩む方。
●そもそもコンピュータとは何か、数学を使って考えてみたい方
●計算機の中で動いている論理について知りたい方
●数値シミュレーションの基盤となっている数学を知りたい方
●学生時代は何の役に立つのかわからず数学に対する興味を失ってしまったが、社会に出てからその必要性を再認識している方
●生命科学・医療・環境・流通など、諸分野の課題を数学的手法で解決できたら・・・と考える方

開催場所

かながわサイエンスパーク内 研修室  (川崎市高津区坂戸3-2-1)
◆ JR南武線「武蔵溝ノ口」・東急田園都市線「溝の口」下車
 シャトルバス 5 分
>> Mapはこちら

◆ JR 新横浜駅より東急バス(有料)直行「溝の口駅」行き30 分
  「高津中学校入口」下車徒歩3 分

本講座の講師

東北大学 材料科学高等研究所・教授 博士(工学)  水藤 寛 氏
東京大学 大学院数理科学研究科・教授 博士(理学) 齊藤 宣一 氏
京都大学 数理解析研究所・准教授 博士(哲学)     照井 一成 氏

カリキュラム編成者からのメッセージ

 現代の科学技術は、その多くが陰に陽に数学に依拠しています。日常生活でそれを意識することはほとんどないとしても、何かを作ろう、改良しようという立場にある人にとって、数学とのつきあいは避けては通れません。また、イノベーションを起こすには一つの分野を極めるだけでは済まず、多くの分野の協働が不可欠です。ここでも諸科学の共通言語である数学に必ず向き合うこととなります。

 数学との「つきあい」の歴史も人さまざまです。社会に出てから日々の業務で様々な問題に直面し、「数学をもっとやっていたらよかったなぁ」と思ったりもしている方々を思い浮かべつつ、本講座は2年前から始まりました。これまでに参加して下さった皆様からのフィードバックを元に、今年度は偏微分方程式を(近似的に)解くための差分法に的を絞り、その数学理論をきっちり押さえながら、理解を実のあるものにするためのPC実習を取り混ぜて行うこととしました。また、計算機で何かを行うときには必ず必要になる論理学についての入門講義も配置しました。最初は、大学初年級での微分積分、線形代数の復習から入ります。大学で勉強したときは、何の役に立つのかわからなかったこまごまとしたことが、実は全て実体を持っているのだということを感じていただきたいと思います。

 比較的少人数の講座として、わからないことも質問しやすい雰囲気を作りたいと思います。「もう一度数学がやりたい!」という方々とお会いできるのを楽しみにしています。

東北大学 材料科学高等研究所 教授・博士(工学) 水藤 寛 

★受講に際してのご案内★

PCを持参してください講義の中で、パソコンを使った実習を行います。windows/ macいずれでもかまいませんので、各自ご持参ください。使用言語はC, FORTRAN, Pythonが対応可能です。実習中に作成したプログラムは持ち帰っていただくことができます。

受講料(消費税込)

区分 全日程 1日単位
A、神奈川県外企業 57,000円 21,000円
割引対象

B、KISTEC パートナー団体会員
C、神奈川県内中小企業※

45,600円

D、C 以外の神奈川県内企業
E、神奈川県内在住の個人の方

51,300円


※神奈川県内中小企業とは・・・神奈川県内に事業所があり、資本金が3億円以下または 企業全体の従業員数が300名以下の企業

カリキュラム内容と日程

11月28日

時間 講義項目 講師

10:00~11:20

< 大学初年級の数学の復習> 流れの数値シミュレーションと大学での微 分積分・線形代数

 流れのシミュレーションを題材に、大学初年級の微分積分学及び線形代数学との関係を紹介します。微分方程式の性質と実際の現象の特徴との関係、部分積分の意味、フーリエ変換の理解、座標変換、行列式、対称行列と反対称行列への分解、直交化、固有値固有ベクトルなどを取り上げ、実際の問題に役に立っている例を示しながら、このあとの講義への準備とします。

水藤 寛

12:30~13:50

< 差分法の理論1> 境界値問題の数理と差分法

 単純な二点境界値問題を対象にして、微分方程式を解く際の基本概念である、グリーン関数、最大値原理、解の連続依存性などについて解説します。その後、二点境界値問題の差分法による近似解法を導入し、その性質を解説します。初歩的な微分積分学と線形代数学の知識を使います。すでに1 日目1限で、応用の視点からの簡単な解説がありますが、それを数学理論の立場から、再度復習することで、より理解がすすみます。

齊藤 宣一

14:10~15:30

<PCでの演習1>計算機上での差分法のプログラミング1

 講義で学んだ差分法を用いて、自分でゼロからプログラムを作っていきます。と言っても、高度なプログラミングは必要なく、代入(=)、繰り返し(fordo)、条件判断(if)が使えれば充分です。言語は、C, FORTRAN, Pythonなど、すでにご存知のものでかまいません。プログラミングの経験がなくても、お手本を見ながら試行錯誤することを厭わなければ大丈夫です。自分でプログラムを組みながら、数学理論との整合性を確認していきます。

水藤 寛

15:50~17:10

<論理学1>数理論理学の基礎

 私たちは日常、さまざまな論理的推論にのっとって判断を行います。また判断の材料となる知識や常識・思い込みも、個別に存在するのではなく「論理の網目」によりネットワーク化されています。これらの背後にある原理を分析し、理想抽象化し、機械化を模索するのが数理論理学の第一義といえます。本講義では、命題論理と呼ばれるもっとも基礎的な論理体系について考え、証明、トートロジー、充足可能性(SAT)、完全性、コンパクト性といった基礎事項について解説したいと思います。

照井 一成

 

11月29日

時間

講義項目

講師

10:00~11:20

<論理学2>不完全性定理

 「名前はカッコイイけど中身はよくわからない」そんな定理ベスト30にランクインすること間違いないのがゲーデルの不完全性定理です。「不完全性」というとやたらネガティヴな響きがありますが、その中身をよく見てみると、「論理の複雑さと計算の複雑さ」の関係であったり「人間による証明とコンピュータによる証明」の関係であったりと、さまざまな発展方向性が垣間見えてきます。本講義では、この定理が示唆する発展的成分に着目し、限られた時間の中でなるべく平易な解説を試みたいと思います。

照井 一成

12:30~13:50

<差分法の理論2>熱方程式の数理と差分法

 熱伝導方程式の数理、すなわち、フーリエの変数分離法、最大値原理、解の平滑化性などを、最初に概説したのちに、熱伝導方程式の差分近似を導入します。いろいろな解法がありますが、最初に解説する熱伝導方程式の数理に基づいて、様々な視点から、各々の解法の長所と短所を検討します。とくに、安定性の意味を明確にします。

齊藤 宣一

14:10~15:30

<PCでの演習2 >計算機上での差分法のプログラミング2

 もう少し複雑な対象として熱伝導方程式に進み、理論との関係を感じていただきたいと思います。1日目3限に作成したプログラムを書き換えて、理論の確認をするための実験をしていきます。方程式の解の実際の動きを見ることで数学理論を実体のあるものとして感じることは、理論の深い理解につながります。また、簡単なものから自分で組み上げることで、業務で使うようなもっと複雑なプログラムの理解につながることをめざします。

水藤 寛

15:50~17:10

<差分法の理論3>安定性と収束性

 引き続き、熱伝導方程式の差分法について、理論的な考察をします。2日目2限の講義で解説する安定性の概念に基づいて、今度は、収束性の証明や収束の速さの評価を行います。Laxの同値性定理やvon Neumann条件など、差分法における重要概念を解説します。引き続き、初歩的な微分積分学と線形代数学の知識のみを使いますが、関数解析への入門となることを意識して行います。(関数解析は、より複雑な問題の数値解法を考察する上で、重要な分野です。)

齊藤宣一

 

11月30日

時間 講義項目 講師

10:00~11:20

<差分法の理論4>有限体積法、有限要素法と差分法

 再度、単純な二点境界値問題を対象にして、有限体積法と有限要素法を導入し、差分法との比較を行います。各々の近似解法が、微分方程式のどのような性質に着目して導出されているのかを詳しく検討します。空間多次元の場合の有限体積法、有限要素法、差分法とその数理についても簡単に触れます。

齊藤宣一

12:30~13:50

<差分法の演習>差分法の理論に関する演習

 これまで学習した差分法の理論について、受講者自身が論理展開を再体験、計算を再構成する趣旨で、簡単な演習を行います。コンピュータを使わず、筆記具で、式や言葉を一つ一つ(ゆっくりと)書くことで、理解できていることへの実感が深まります。講義を通じての、補足説明も必要に応じて行います。

14:10~15:30

<PCでの演習3>計算機上での差分法のプログラミング3

 2日目3限に作成した熱伝導方程式のプログラムを書き換えて、収束性の実験をし、数学理論の理解を深めます。余裕があれば、他のタイプの偏微分方程式のプログラムにも書き換えてみましょう。また、数値計算結果は数字の羅列ですから、その把握には何らかの可視化が必須となります。可視化技術の概要を紹介し、その落とし穴についても紹介したいと思います。

水藤 寛

15:50~17:10

<まとめと展望>数理科学と他分野の連携例の紹介

 数学・数理科学と諸分野の協働を目指すJSTの戦略研究領域の活動を紹介し、特に今回の講師が関わっている数理科学と臨床医学の協働例を取り上げて、数学・数理科学が社会に提供できるものは何か、数学・数理科学をどうやって「活用」したらよいのか、を考えます。

 

主催

地方独立行政法人 神奈川県立産業技術総合研究所

人材育成部 教育研修課 教育研修グループ
TEL : 044-819-2033 FAX : 044-819-2097

E-mail:ed@newkast.or.jp

後援・協賛(一部申請中)

国立研究開発法人 科学技術振興機構 (一社)日本数学会 (一社)日本応用数理学会 (公社)応用物理学会 (一社)日本鉄鋼協会 (公社)精密工学会 (一社)日本複合材料学会(一社)日本鋼構造協会 (公社)日本材料学会 (一社)日本原子力学会 (一社)日本シミュレーション学会 (一社)日本流体力学会 (一社)日本計算工学会 (公社)化学工学会 (一社)電気学会 (一社)化学とマイクロ・ナノシステム学会 (一社)日本ロボット学会 (公社)日本医学放射線学会 (公社)高分子学会 (特非)日本バイオインフォマティクス学会 川崎商工会議所 (株)ケイエスピー (公財)大田区産業振興協会