実用的潤滑剤による潤滑下DLC 膜の 摩擦摩耗特性評価

●研究期間:平成28 年4 月~平成30 年3 月  
●実施場所:海老名本部
●研究担当:機械・材料技術部 材料物性グループ

研究概要

しゅう動性に優れたDLC(ダイヤモンドライクカーボン)
膜は、使用する潤滑剤によって摩擦係数が変化することが知られています。本研究ではDLC に対する実用的潤滑剤の候補の一つであるエステル系潤滑剤について、摩擦係数低減効
果とそのメカニズムについて調査しました。その結果、水素含有DLC(a-C:H)に比べて水素フリーDLC(ta-C)に対する摩擦低減効果が大きく、エステルの化学構造における
炭素鎖の長さ、および分岐の有無によって摩擦特性が異なることがわかりました。摩擦係数が低い場合は、最表層に吸着する物質の炭素−酸素結合の割合が大きく、しゅう動面には
元の潤滑剤に比べて10% 程度分子量の大きい物質がより多く吸着していました。この物質は、しゅう動面にトライボ化学反応によって形成され、摩擦低減に大きく影響すると考え
られます。本研究は、摩擦エネルギーを減らす環境負荷低減技術として、自動車分野をはじめ、食品、医療、福祉分野等、今後の成長が見込まれる分野への応用が期待されます。

往復式ピンオンディスク摩擦試験模式図

エステル系潤滑剤の平均摩擦係数

表面分析(XPS 分析法)によるC1s ピーク分離の結果

表面分析(飛行時間型二次イオン質量分析法)によるDLC しゅう動部表面吸着物の分子量同定