平成30年度研究概要

毛包原基の大量調製法を用いた毛髪再生医療

高効率で実現性の高い毛髪再生医療技術を開発します。

横浜国立大学大学院 工学研究院 
教授 福田淳二

 脱毛症は、生命には直接関わらないものの、個人の印象に大きく影響することから悩みを抱える人は少なくありません。近年、自分自身の細胞を培養・移植することで毛髪を再生する毛髪再生医療が新しい治療法として注目されています。研究代表者らは、毛髪を再生させるための細胞凝集塊(毛包※1 原基)を一度に大量に調製する独自の培養技術を開発しました。本研究では、この技術シーズをもとに、医療機関等と連携し、ヒト治療に必要な数千個の毛包原基を調製する技術、毛包幹細胞※2 を毛髪再生能力を維持したまま大量に増殖させる技術、毛包原基を精密に移植する技術を開発し、毛髪再生医療の実現に取り組みます。

  • ※1 毛包:毛を生み出す器官。
  • ※2 毛包幹細胞:毛包を形成・再生させる2 種類の細胞。

 

ナノカーボン光源分析装置開発

新原理に基づく高性能分析装置を開発します。

慶應義塾大学  理工学部
准教授 牧英之

 本研究では、カーボンナノチューブやグラフェンを用いたチップ上の超小型・超高速ナノカーボン※3 光源を用いて、従来のマクロな光源では実現できない全く新しい原理の分析装置開発を行います。ここでは、ナノカーボン光源を用いた分析技術の原理実証を行うとともに、分析装置に最適化したナノカーボン光源の開発も行います。また、これらの技術を融合して、新規分析装置のプロトタイプ開発まで進めて、ナノカーボン光源の優れた特性を生かした新しい分析装置の基盤技術を構築します。これにより、現在の分析装置では達成できない高い空間分解能や時間分解能を有する新たな分析装置システムの実現を目指すとともに、本技術を広い分野で応用することを目指します。

  • ※3 ナノカーボン: ナノメートル単位の炭素粒子で構成される物質。形状によりカーボンナノチューブやグラフェン等がある。

     

3D ナノ界面を有する異種接合技術の開発

生体模倣技術を応用した新規接合技術の実用化を目指します。

早稲田大学 理工学術院
准教授 細井厚志

 次世代の自動車や航空機などの輸送機器において、軽量化、省燃費化、リサイクル性、生産性の観点から、主要構造材料に熱可塑性※4 炭素繊維強化プラスチック(CFRTP)を採用するための技術開発が行われており、次世代輸送機器はCFRTP と金属材料とのマルチマテリアル構造となることが想定されています。しかし、CFRTP の母材である熱可塑性樹脂は金属材料との接着性に乏しいことが課題となっています。そこで、本研究では、自己組織化によりアルミニウム合金表面に高秩序、高密度なナノ空間構造体を創製し、ファンデルワールス力やアンカー効果によりCFRTP との接着強度や破壊靱性※5 を向上させた、革新的な異種材料直接接着技術を開発し、CFRTP の次世代輸送機器への更なる利用拡大を目指します。

  • ※4 熱可塑性:加熱により軟化する性質。
  • ※5 破壊靭性:材料の破壊に対する抵抗力。