「食品機能性評価」グループ

超高齢社会を迎え、健康で豊かな生活を維持することが求められています。神奈川県内の企業や公設試と連携を図りながら、未病の状態からより健康的な状態へ近づけていくための機能性食品等の効能や安全性について、ニュートリゲノミクス(栄養遺伝子科学)手法を用いた、科学的根拠に基づいて評価する公的システムの構築を目指します。

グループリーダー

阿部 啓子
阿部 啓子
東京大学 大学院 特任教授

参画機関

♣ 神奈川県衛生研究所
♣ 神奈川県産業技術センター
♣ 神奈川県農業技術センター
♣ 大学、企業 他

研究体制

期 間

(地域マクロニーズ即応プロジェクト)
「食の安全・安心」プロジェクト

 2008年4月~2011年3月

「健康・アンチエイジング」プロジェクト

 2011年4月~2015年3月

「未病改善食品評価法開発」プロジェクト

 2015年4月~2017年3月


(実用化実証事業)
「食品機能性評価」グループ

 2017年4月~2019年3月

構成

  • グループリーダー
  • サブリーダー
  • 常勤研究員
  • 非常勤研究員
  • 事務補助員

実施場所

川崎生命科学・環境研究センター(LiSE)4階
神奈川県川崎市川崎区殿町3-25-13

TOPICS








                    過去のトピックスへ

                    研究概要

                      機能性食品の開発には、効果・効能の評価解析による幅広い科学的エビデンスを実証することが求められている。その課題に応えるため、本プロジェクトでは、ニュートリゲノミクスを含めたオミクス技術により、製品の生体機能を検証し、その結果を製品設計、およびヒトでの試験に向けた基盤研究へ適用することを目標としている。本プロジェクトは神奈川県内に多い食品企業の機能性食品の開発に資することを強く意識し、県内食品企業・産業の活性化を目指す。
                     
                      食は健康な生体を築き上げ、それを維持する上で限りなく重要であり、適正な食生活は “quality of life”(QOL)の向上に寄与し、生活習慣病を防ぎ、健康寿命を延ばす手段としても高い関心が寄せられている。わが国ではまもなく65歳以上の高齢者が人口の30%に達すると予想されており、健康を保ち、エイジング(加齢)に伴う生活習慣病の発症を遅らせる機能性食品の開発は国際的にも注目されている。

                      機能性食品の効果・効能の解析は、これまで、一面的現象に偏りがちであった。しかし、近ごろ急速に利用が進みつつあるDNAマイクロアレイというチップを用い、遺伝子レベルで予知する科学技術“ニュートリゲノミクス”は、食品のトータルな作用・機能を網羅的に解析することを可能にした。本プロジェクトのもう一つの目標は、科学的エビデンスに基づく機能性食品を開発するための公的な第三者評価機関を世界に先駆けて構築することである。

                      健康寿命を延ばし、加齢を抑えて豊かな生活を営むことは社会の願望であり、本プロジェクトは、この日本発の領域を、学術的・産業的・社会的に発展させ世界に発信していくことを目指している。

                    ニュートリゲノミクスは食の効果の遺伝子診断

                    研究内容

                      私たちは食品や栄養素の機能性をニュートリゲノミクスに基づいて評価している。食品機能は十分な科学的エビデンスによって裏付けされなくてはならないと考えられる。これまでに、サプリメントとしてのアミノ酸混合溶液、メープルシロップ、神奈川県産桑葉、杜仲、柑橘などについて、機能性評価を実施している。また、栄養素などの必須の成分は、その摂取量の過不足が生体に及ぼす影響は大きい。私たちは栄養素の一つである鉄に着目し、その摂取過不足の影響をニュートリゲノミクスに基づき解析している。
                      メープルシロップおよび鉄欠乏食の肝臓遺伝子発現に対する影響についてはすでに報告している。メープルシロップ含有食を与えられたラットの肝臓では砂糖混合溶液含有食を与えられたものよりも肝機能マーカー値の低下が認められ、また、DNAマイクロアレイ解析の結果から遊離アンモニア産生酵素の発現が低下していることが明らかとなった。遊離アンモニアは肝臓にとって有害な分子である。これらのことから、メープルシロップの肝臓機能改善作用の可能性が見出された(1)

                      鉄は必須のミネラルであり、鉄の摂取不足は貧血の要因のひとつであることが知られている。鉄欠乏食を与えられたラットの肝臓を調べたところ、食餌性の鉄欠乏は様々な代謝系に変化をもたらしており、なおかつアポトーシスも誘導することがわかった(2)。また、食餌性の鉄含有量は貧血の症状を呈しない状態であっても肝臓の遺伝子発現に強く影響していることが明らかとなった。 これらのことは一見健康そうに見えても、体内では様々な変化が起き始めていることを示唆するものであった。

                    メープルシロップ食摂取によるserine/threonine dehydrataseおよびhistidine ammonia-lyaseの発現現象およびアンモニア生成抑制の可能性

                    アミノ酸の機能性に関する解析

                    鉄の機能性・安全性評価

                    (1) Watanabe Y. et al. Biosci Biotechnol Biochem. 75:2408-2410 (2011)
                    (2) Kamei A. et al. Physiol Genomics 42:149-156 (2010)

                    そのほか、文部科学省 地域イノベーション戦略支援プログラムの中で、トランスクリプトーム・エピジェノミクスを基礎においた食品評価について取り組んでいます。

                    【お問合せ】
                    研究開発部 研究支援課 地域イノベーション推進グループ
                    TEL:044-819-2031 / FAX:044-819-2026
                    E-Mail : sks☆newkast.or.jp (☆を@にご変更ください)