「革新的高信頼性セラミックスの創製」プロジェクト

プロジェクトリーダー

多々見 純一

横浜国立大学大学院
環境情報研究院
教授

研究体制

期間

(戦略的研究シーズ育成事業)
「高信頼性セラミックスエラボレーション」

2013年4月〜2015年3月


「高機能・高信頼性共発現エコマテリアルの創製」

2015年4月〜2017年3月


(有望シーズ展開事業)
「革新的高信頼性セラミックスの創製」プロジェクト

2017年4月〜2021年3月

構成

  • グループリーダー
  • 常勤研究員
  • 非常勤研究員
  • 兼任研究員
  • 実施場所

    神奈川県立産業技術総合研究所(海老名本所)
    神奈川県海老名市下今泉705-1

TOPICS

過去のトピックスへ

研究概要

 我が国のエネルギー政策の転換に向けた技術やシステムの向上は喫緊の課題となっており、自動車や太陽電池等といった環境・エネルギー分野に資する領域に適用するため、その基盤となる革新的な高信頼性材料の開発が求められています。
 例えば、照明のLED化は、神奈川県地球温暖化対策計画(201610月改訂)にあるように、低炭素社会実現のために有効な手段であることは言うまでもありません。また、20165月に閣議決定された地球温暖化対策計画においても、LED等の高効率照明を2030年までにストックで100%普及することを目指すこととなっています。現在、白熱電球や蛍光灯の代替としてLED照明が普及しつつありますが、高出力LED照明は普及が十分に進んでいるとは言えません。現在の最も典型的なLED照明では、UV、紫色あるいは青色LEDを励起光源として、これに樹脂に分散させたサイアロン蛍光体からの赤や緑、黄色の発光を併せて白色を実現しています。LED照明においては、励起光源から発生した熱や光に起因した樹脂の劣化により光束減少が生じて寿命となるという技術課題があります。特に、高天井用照明や屋外インフラ用照明、スタジアムなどの投光器、大型プロジェクターなどの高出力LED照明の発熱量は大きく樹脂の劣化は顕著であり、蛍光体関連部材の耐久性の欠如が高出力LED照明の社会実装のボトルネックとなっています。
 また、パワー半導体は、低炭素社会を実現するためのキーとなる電力変換素子として、家電などからHVEVやパワートレインなどの車両、さらには再生可能エネルギーを利用したスマートグリッドのためのインフラまで多岐にわたり応用が期待されています。特に、自動車関連のパワーデバイスはCO2削減効果とともに市場も大きい分野です。パワーチップについては多数の企業、大学、研究機関などにおいて研究開発が活発になされていますが、周辺技術である樹脂や絶縁セラミックスといった高熱伝導材料の開発は進展していないのが現状です。
 これを受けて、KASTの戦略的研究シーズ育成事業(平成27年度)では、環境・エネルギー分野 に資する優れた機能と高い信頼性を同時に発現させたエコマテリアルの創製を行ってきました。この中で、c 軸配向高熱伝導・高強度 Si3N4セラミックス、および、透明蛍光 SiAlON セラミックスバルク体の研究開発を進めてきました。
 本プロジェクトでは、高効率高出力LED照明や高熱伝導絶縁基板等の最終製品、新規評価法(デファクトスタンダード)の確立といった出口を見据え、高機能・高信頼性を共発現する革新的なセラミックス材料の開発のほか、セラミックス材料をはじめとした機械的信頼性向上に資する新規の機械的特性評価法の開発を目指します。

 

研究内容

透明蛍光サイアロンセラミックスバルク体の開発、および、高効率高出力LED照明への展開

 現在、白熱電球や蛍光灯の代替としてLED照明が普及しつつありますが、高天井用照明や屋外インフラ用照明、スタジアムなどの投光器、大型プロジェクターなどの高出力LED照明は普及が十分に進んでいるとはいえません。これまでに戦略的研究シーズ育成事業にて開発してきた透明蛍光サイアロンセラミックスは耐熱性に優れることから、高出力LED照明の課題解決に大きく貢献することが期待されます。
 本プロジェクトでは、この研究シーズを高出力LED照明として応用展開いたします。

 

高熱伝導性配向材料の開発、および、自動車やスマートグリッドなどで利用される大電流電力変換用パワーモジュールへの展開

  SiCやGaNパワー半導体は、低炭素社会を実現するためのキーとなる電力変換素子として、家電などからHVEVやパワートレインなどの車両、さらには再生可能エネルギーを利用したスマートグリッドのためのインフラまで多岐にわたり応用が期待されています。本プロジェクトでは、高熱伝導性c軸配向Si3N4セラミックスをSiCパワーデバイス用絶縁放熱基板に応用展開することを目指し、透明蛍光サイアロンセラミックスやc軸配向Si3N4セラミックスを実現するため必須であるセラミックスの内部構造、特に原料粉体、スラリー、成形体中の内部構造の情報を得るための研究を進めていきます。

 

材料のメソスケール破壊特性評価法の確立、および、広範なエコマテリアルの高信頼性化への展開

  現在、環境エネルギー分野や安心安全な社会を支える材料の研究開発が進められていますが、その社会実装に不可欠な機械的信頼性の向上、および、その基礎となる破壊現象の理解は十分ではありませんでした。これまでの成果によって、マイクロカンチレバー試験片を用いたメソスケール破壊特性評価法を独自に開発し、Si3N4セラミックスの粒界破壊靱性の焼結助剤依存性の実測に世界で初めて成功するなど、セラミックスの破壊現象を解明しつつあります。今後は、セラミックスの破壊を支配するメソスケール破壊特性の評価法確立と微構造因子との相関解明、および、これを活用した高信頼性材料の設計と創製を目的として研究を推進いたします。
【お問合せ】
研究開発部 研究支援課 研究支援グループ
TEL:044-819-2034 / FAX:044-819-2026
E-Mail : res☆newkast.or.jp (☆を@にご変更ください)